COLUMN
コラム原子力発電所では新規制基準に対応した耐震工事として、施設の新設・増設・改造工事などが行われています。
新規制基準は、安全対策の設計基準の強化と、設計の想定を超える事態にも対応可能な対策の2本柱が特徴となっています。
この記事では原発の耐震工事の実例とともに、工事の増加に伴い不足している施工管理の現状についても紹介します。
・活断層の真上に安全施設は設置しない
・基準津波を策定し十分な敷地高さを確保する
・複数の電源の確保とディーゼル発電機の活用
・火災発生防止と火災による影響を軽減する
・自然現象(地震、津波など)により安全性を損なわないこと
・炉心損傷防止(冷却、減圧、停止対策)
・格納容器破損防止(水素再結合装置、冷却、減圧)
・放射性物質拡散抑制(水と電源の確保)
・プラント管理機能(緊急対策所、重大事故対処施設)
新設された対策の要点は、福島の事故での教訓を活かし、重大事故につながる要因に対して具体的に厳しく基準を設けていることです。
参照元URL
https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/kento113_33_sanko3.pdf
原発の耐震工事によって強化された施設や設備は、災害と被害拡大を防止するのに非常に有効です。建屋内と構内敷地に分けて代表的な耐震工事の実例を紹介します。
原発の建屋は一般的に、原子炉建屋、タービン建屋、サービス建屋の3つで構成されています。このうち原子炉建屋は、原子力圧力容器、原子炉格納容器、燃料集合体で構成されており、まさに原子力発電所の心臓部です。
地震の際に燃料取替機の脱落を防止するために走行レールを大型化したり、脱落防止金具の形状を改造したりします。
地震の際に原子炉建屋の天井クレーンを防止するため、脱線防止金具の形状を改造します。
ケーブルトレイや電線管の既設支持構造物を改造したり、構造物を追加したりします。
原発は大量の冷却水を必要とするため、海岸や大規模河川沿いに建設されます。建屋は岩盤上に建設されますが、さらなる耐震性向上のため、広大な構内敷地部分の耐震工事を行います。
建屋を津波などの猛威から守る防潮堤の多くの部分は鋼管杭鉄筋コンクリート防潮壁で構成します。
施設の配置や構造形式に応じて地盤改良による液状化対策を行い、耐震性を向上させます。
緊急時の大量の注水のために必要な代替淡水貯槽など、地下施設構築のために土留壁を造成します。
原発では新規制基準に基づいた施設や設備の更新と同時に、構築された施設や設備の維持のためにさまざまな工事が行われています。
そのため各工種の施工管理ができる、資格と実務経験のある人材が常に不足している状況です。
施工管理のなかで求人が一番多いのは建築施工管理技士です。次に、電気工事施工管理技士、土木施工管理技士と続きます。
プラント施工管理というのも多いですが、これは施工管理技士の原価管理や安全管理の経験があればできる施工管理です。
どの資格も1級は2級よりも、給与・待遇で大きく優遇されるようです。たとえば、1級電気工事施工管理技士の経験ありでは月額給与で70万円~80万円も可能ですが、2級では40万円~50万円くらいになります。
給与や待遇について、交渉や調整に不安があるという方は派遣で働くという選択肢もあります。現在の収入相場とあなたの要望や適性に合わせて職場を紹介するだけでなく、入社後のサポートも手厚いと利用者の評価は高いです。
ここまで原子力発電所の耐震工事と、原発では工事の施工管理が不足している現状を紹介しました。
原子力発電所の工や業務は、大手ゼネコンが関連しているものが多いです。そのため給与や待遇は他の現場の仕事よりも優遇されています。
また、シビアな現場であることも多いため、建設業でのキャリアアップとしても役立つはずです。
気になる方は、派遣会社に問い合わせてみることをおすすめします。
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